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Trac のチケットワークフローシステム
Table of Contents
Trac のチケットデータベースはコンフィグ可能なワークフローを提供します。
デフォルトのワークフロー
0.10 からアップグレードした Environment
trac-admin <env> upgrade
を実行したとき、trac.ini
に [ticket-workflow]
セクションが追加され、 0.10 でのワークフロー (original ワークフロー) と同様のアクションをするようにデフォルトの設定値が設定されます。
original ワークフローは下図を参照してください:
original ワークフローにはいくつかの重要な "欠点" があります; 新しいチケットを承認 (accept) したときにステータスは 'assigned' に設定されますが、 'assigned' のチケットを再割り当て (reassign) するとステータスは 'new' に設定され、直観的ではありません。 これは original ワークフローから "basic" ワークフローに移行することで解決します; original ワークフローから basic ワークフローへの移行には contrib/workflow/migrate_original_to_basic.py が役に立つかもしれません。
0.11 で新規作成した Environment
0.11 の環境が新規に作成されるとき、デフォルトのワークフローが trac.ini に構成されます。このワークフローは basic ワークフローです (basic ワークフローは basic-workflow.ini
内に記述されています)。 basic ワークフローは 0.10 でのワークフローとは少し違います。
basic ワークフローは下図を参照してください:
そのほかのワークフロー
Trac のソースツリーの中でいくつかのワークフローのサンプルを提供しています; contrib/workflow の .ini
コンフィグセクションを探してみてください。その中のひとつにあなたが探しているものがあるでしょう。それらをあなたの trac.ini
ファイルの [ticket-workflow]
セクションに貼り付けてください。しかし、もしあなたがすでに起票済みのチケットをもっていて、それらのチケットのステータスが新しいワークフローに含まれていない場合に、問題が生じるでしょう。
これらの例の ダイヤグラム を見ることができます。
基本的なワークフローのカスタマイズ
Note: チケットの "ステータス群 (Statuses or states)" は独立した状態で定義することはできません。チケットがとりうるステータスはワークフローで定義された状態遷移から自動生成されます。つまり、チケットを新規作成するためには、ワークフローで開始状態と終了状態を持つ状態遷移を定義せねばなりません。
trac.ini
に [ticket-workflow]
セクションを作成します。
[ticket-workflow]
セクション内の各エントリはチケットが取り得るアクションです。
simple-workflow.ini
の accept
を例に説明します:
accept = new,accepted -> accepted accept.permissions = TICKET_MODIFY accept.operations = set_owner_to_self
1 行目は accept
の動作についての定義です。 accept
は new
と accepted
のステータスで有効であり、ステータスが new
か accepted
の場合に accept
が実行されるとステータスが accepted
になることを表しています。
2 行目は、ユーザが accept
を行うために必要な権限についての定義です。
3 行目は accept
を行ったときに、同時にチケットに対して行う操作についての定義です。 set_owner_to_self
は、チケットの所有者をログイン中のユーザに更新することを表します。同一エントリーに対して複数の定義を行う場合は、カンマ区切りのリストとして設定することが可能です。
actionname.operations
で使用できる値は以下の通りです:
- del_owner -- チケットの所有者を削除します。
- set_owner -- チケットの所有者を選択された所有者か入力された所有者に設定します。
- actionname
.set_owner
カンマ区切りのリストか1つの値を設定することができます。
- actionname
- set_owner_to_self -- チケットの所有者をログインユーザに設定します。
- del_resolution -- チケットの解決方法を削除します。
- set_resolution -- チケットの解決方法を選択された解決方法か入力された解決方法に設定します。
- actionname
.set_resolution
カンマ区切りのリストか1つの値を設定することができます。例: resolve_new = new -> closed resolve_new.name = resolve resolve_new.operations = set_resolution resolve_new.permissions = TICKET_MODIFY resolve_new.set_resolution = invalid,wontfix
- actionname
- leave_status -- "変更しない 現在のステータス: <現在のステータス>" (英語版では "leave as <current status>") を表示してチケットへの変更を行いません。
Note: set_owner
と del_owner
などのように相反する操作を同時に指定した場合の動作は不定です。
resolve_accepted = accepted -> closed resolve_accepted.name = resolve resolve_accepted.permissions = TICKET_MODIFY resolve_accepted.operations = set_resolution
.name
属性を使用した場合の例です。この例のアクションは resolve_accepted
ですが、 .name
で別名を付けることによって、ユーザからは resolve
として見えます。
すべてのステータスで利用可能なアクションであることを表す値として、 *
を使用することができます。分かりやすい例は leave
です:
leave = * -> * leave.operations = leave_status leave.default = 1
これは '.default' 属性の使用例でもあります。 .default
属性の値は整数であることを期待します。そして、アクションが表示される順番は .default
属性の値で決まります。 .default
の値が最も大きいアクションが最初に表示され、デフォルトで選択されます。残りのアクションは .default
の値に従い、降順で表示されます。 .default
の値を指定しない場合のデフォルト値は0になります。
.default
の値には負の値を指定することもできます。
ワークフローにはハードコードされた 2, 3 の制限があります。新しく作成されたチケットのステータスは new
になり、チケットには closed
のステータスが存在する必要があります。さらにデフォルトのレポート/カスタムクエリでは closed
以外のすべてのステータスをアクティブなチケットとして扱います。
ワークフローを作成・編集するのに contrib/workflow/workflow_parser.py
が役に立つかもしれません。 contrib/workflow/workflow_parser.py
は GraphViz が理解でき、ワークフローを視覚化するための .dot
ファイルを作ることができます。
以下に例を示します (インストールパスは環境により異なる場合があります) 。
cd /var/local/trac_devel/contrib/workflow/ sudo ./showworkflow /srv/trac/PlannerSuite/conf/trac.ini
実行結果は trac.pdf
として出力されます。 (trac.ini
同じディレクトリに出力されます。)
http://foss.wush.net/cgi-bin/visual-workflow.pl でワークフローのパーサのオンラインでのコピーができます。
ワークフローを変更したあと、変更を適用するために Apache を再起動する必要があります。これは大切なことです。なぜならあなたがスクリプトを起動したとき、それでも変更箇所は現れますが、すべての古いワークフローがサーバの再起動がされるまで残ってしまうからです。
例: ワークフローにテストを追加する
trac.ini の [ticket-workflow] セクションに以下の記述を追加することで optional testing を実現できます。チケットのステータス (status) が new, accepted, needs_work の場合にチケットを testing 状態に遷移させることができます。 testing ステータスでは reject して needs_work 状態に戻すか、 pass して closed 状態に進めることができます。 pass させた場合、 closed での解決方法 (resolution) は自動的に fixed に設定されます。以前のワークフローはそのまま残っているので、このセクションで設定した内容をスキップすることもできます。 (訳注: 通常、チケットのクローズを行うためには TICKET_MODIFY 権限が必要です。このワークフローでは testing 状態からのクローズには権限が不要なので、報告者 (reporter) に修正結果をテストしてもらう場合などに有効です)
testing = new,accepted,needs_work,assigned,reopened -> testing testing.name = Submit to reporter for testing testing.permissions = TICKET_MODIFY reject = testing -> needs_work reject.name = Failed testing, return to developer pass = testing -> closed pass.name = Passes Testing pass.operations = set_resolution pass.set_resolution = fixed
tracopt.ticket.commit_updater
と testing ワークフローの組み合わせる方法
tracopt.ticket.commit_updater は Trac 0.12 で 古い trac-post-commit-hook を置き換える オプションのコンポーネントです。
デフォルトで、このコンポーネントはチェンジセットのログメッセージの中の close や fix などのキーワードに反応し、対応するワークフローのアクションを実行します。
もし、上記で述べたような testing ステージがあるような複雑なワークフローを使用していて、キーワードに closes があった場合にステータスを closed にする代わりに、 testing に移したいならば、かなりコードを改変させる必要があるでしょう。
trac-post-commit-hook
については、 Trac 0.11 レシピ を参照して下さい。これは、このコンポーネントを修正する方法についていくつかのアイディアをくれるでしょう。
例: レビュー状態を追加する
"testing" ステータスが利用者によっては、異なる状況を指すような Trac の使い方をしている場合、実装固有の詳細な箇所は "testing" に分類せず、デフォルトのワークフローの assigned
と closed
ステータスの間に、必要に応じて分岐できるステータスを追加したいと考えるはずです。新しいステータスは reviewing
とすべきでしょう。 "submitted for review" されたチケットは、どのようなステータスからでも reassigned になります。レビューが通過した場合、 resolve
アクションを再利用して、チケットを close します。通過しない場合は reassign
アクションを再利用して通常のワークフローに戻します。
新しい reviewing
ステータスは review
アクションに関連付けます。以下のように記述してください:
review = new,assigned,reopened -> reviewing review.operations = set_owner review.permissions = TICKET_MODIFY
デフォルトの Trac 0.11 ワークフローに統合するために、 reviewing
ステータスを accept
と resolve
アクションに追加します。以下のようになります:
accept = new,reviewing -> assigned […] resolve = new,assigned,reopened,reviewing -> closed
必要に応じて reviewing
からステータスを変更せずに、チケットの担当者 (owner) を変更するための新しいアクションを追加します。この設定を行うと、 new
ステータスに遷移させることなくレビューの担当者を変更することができるようになります。
reassign_reviewing = reviewing -> * reassign_reviewing.name = reassign review reassign_reviewing.operations = set_owner reassign_reviewing.permissions = TICKET_MODIFY
完全な [ticket-workflow]
への設定は以下のようになります:
[ticket-workflow] accept = new,reviewing -> assigned accept.operations = set_owner_to_self accept.permissions = TICKET_MODIFY leave = * -> * leave.default = 1 leave.operations = leave_status reassign = new,assigned,reopened -> new reassign.operations = set_owner reassign.permissions = TICKET_MODIFY reopen = closed -> reopened reopen.operations = del_resolution reopen.permissions = TICKET_CREATE resolve = new,assigned,reopened,reviewing -> closed resolve.operations = set_resolution resolve.permissions = TICKET_MODIFY review = new,assigned,reopened -> reviewing review.operations = set_owner review.permissions = TICKET_MODIFY reassign_reviewing = reviewing -> * reassign_reviewing.operations = set_owner reassign_reviewing.name = reassign review reassign_reviewing.permissions = TICKET_MODIFY
例: new チケットでの解決方法 (resolution) を制限する
resolve_new という操作では、 new 状態のチケットで使用可能な、解決方法 (resolution) を設定しています。既に存在する resolve アクションを変更し、 ->
の前から new のステータスを削除することで、2種類の resolve アクションが使用できるようになっています。 new のチケットでは制限された解決方法 (resolution) となり、それ以外の一旦 accept されたチケットでは通常通りとなります。
resolve_new = new -> closed resolve_new.name = resolve resolve_new.operations = set_resolution resolve_new.permissions = TICKET_MODIFY resolve_new.set_resolution = invalid,wontfix,duplicate resolve = assigned,accepted,reopened -> closed resolve.operations = set_resolution resolve.permissions = TICKET_MODIFY
高度なワークフローのカスタマイズ
ここまでのカスタマイズで十分でないならば、プラグインを使用することでワークフローのさらなる拡張が可能です。プラグインを使用すると、ワークフローに (code_review のような) 操作を追加できます。また、単純なステータスの変更だけでない (トリガを構築するなどの) 2 次的な操作を実行することができます。いくつかの簡単な例は sample-plugins/workflow を参照してください。
プラグインを使用した拡張でさえも十分でないならば ConfigurableTicketWorkflow のコンポーネントを無効にし、ConfigurableTicketWorkflow を完全に置き換える十分な機能を持ったプラグインを作成することも可能です。
ワークフローのステータスをマイルストーンのプログレスバーに追加する
新しいステータスをワークフローに追加した場合、マイルストーンのプログレスバーへの表示もカスタマイズできます。 TracIni を参照してください。
次のステップに向けたアイデア集
(訳注: この項はワークフローシステムの実装に関するアイデア集です。現在実装されているものではないので、プラグインを作成するときなどに参考にしてください)
New enhancement ideas for the workflow system should be filed as enhancement tickets against the ticket system
component. If desired, add a single-line link to that ticket here. Also look at the [th:wiki:AdvancedTicketWorkflowPlugin] as it provides experimental operations.
If you have a response to the comments below, create an enhancement ticket, and replace the description below with a link to the ticket.
- the "operation" could be on the nodes, possible operations are:
- preops: automatic, before entering the state/activity
- postops: automatic, when leaving the state/activity
- actions: can be chosen by the owner in the list at the bottom, and/or drop-down/pop-up together with the default actions of leaving the node on one of the arrows.
This appears to add complexity without adding functionality; please provide a detailed example where these additions allow something currently impossible to implement.
- operations could be anything: sum up the time used for the activity, or just write some statistical fields like
A workflow plugin can add an arbitrary workflow operation, so this is already possible.
- set_actor should be an operation allowing to set the owner, e.g. as a "preop":
- either to a role, a person
- entered fix at define time, or at run time, e.g. out of a field, or select.
This is either duplicating the existing set_owner
operation, or needs to be clarified.
- Actions should be selectable based on the ticket type (different Workflows for different tickets)
Look into the [th:wiki:AdvancedTicketWorkflowPlugin]'s triage
operation.